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渋谷のスペイン料理「エルカステリャーノ」

渋谷駅から宮益坂をてくてく上り、青学方面へ。
小さなビルの二階にお店があるので見落とさないように。

スタッフの大半はスペイン人。
オーナーと思われるおっちゃんも貫禄のあるスペイン人だが、このおっちゃんがすんげぇクセ強い!
ノブが裸足で逃げ出すレベル。
以下前情報を読み、自分がこの店に合うかどうかしっかり検討していただきたい。

オーナーらしきおっちゃんがクッソしつこくて馴れ馴れしい。陰キャは耐えられないかもしれない。
さほど広くない店内のド真ん中でおもむろに演奏が始まる。
フードは最初に全部注文。追加オーダーは受け付けない!(受け付けない!
注文できるパエリアは一種類のみ。複数種類のオーダーは受け付けない!(受け付けない!

まずはビールで乾杯。
スペインのクルスカンポ。香りからピルスナーと思われ。
豊かな麦の風味はドルトムンダーを思わせる力強さ。
苦味もしっかりと来る。
麦の香ばしさがやや伸びる。なかなか良質。

生ハムドーン!
強い熟成感、ねっとりした口当たりに旨味が凝縮されている。
酒に合わせてももちろん旨いが、塩気そこまでガンガンに効かせてるわけではないのでそのままでもどんどん口に入っちゃう。

小エビのアヒージョ。
エビがぷりっぷり!明らかにそのへんのなんちゃってスペインバルとは質が違う。
ガーリックをたっぷり効かせ、強烈なパンチ力。
唐辛子も使われているが、辛味を感じるかどうか絶妙な塩梅にしており、エビの旨味を邪魔せずブーストさせている。

スペインオムレツ。
しっとり卵にほくほくのじゃがいも。
ダシを入れてるのか、なんだか風味に奥行きがある。
プチプチした食感はなんだろ、たらこ?

アーティチョークのソテー。
極限まで柔らかくした湯葉を、きのこベースのダシに漬けたみたいな味。
くたくたの白菜みたいな繊維質も感じる。
これにガーリックの味わいが染み込んだオリーブオイルがかけられ、口の中に広がる。
余韻にアーティチョークならではの香りが鼻から抜ける。

豚の血の腸詰め。
名前のグロさとは裏腹に、そこまで妙なクセや生臭さは無い。
柔らかいレバーにじゃがいもを足したような口当たり。風味はコンビーフに近いかな。
米も混じっており、もちもちとした食感の変化。

大トリ、バレンシアパエリア。
見てくださいこのフチの焦げ!30分かけてじっくり焼き上げられた本格派であります!
散りばめられた海鮮食材の旨味があちこちで爆発四散しそうなところを、トマトがシャープにマネージメントしてくれている。
ジューシーな鶏肉は皮パリッとしつつ中しっとり。
焦げの部分にやはり海鮮の旨味が凝縮されており、特にイカの風味が色濃く出てパリパリと噛むごとに小爆発を起こす。
ぷるぷるとみずみずしいパプリカの甘味がほっと和ませる。
こんなウマいパエリアには、やっぱスペインワインを合わせたい!

というわけでドンラモン2017。
フルーティなブドウのしっとりと甘い香り。
小麦や駄菓子のような軽やかな香ばしさも感じる。
くいっと飲むとシャープなアルコール感があるが、不思議と口当たり柔らか。
しっとりとした甘味があるもののベタつかずキレがある。
渋味は穏やかで、落ち着いて飲めるミディアムボディ。

まとめ

日本人向けに妥協したそこらの店とは違い、食材の旨味を力強く打ち出した珠玉の料理の数々。
だがしかし!そこに立ちはだかるアクの強い接客!
日本の居酒屋感覚で行くと気分悪くなること請け合い。
スペインとの感覚の違いなんだろうね。
でもそれを乗り切って食う価値のあるメシがそこに、ある!!


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